作品

04.方丈の家

竣工年 2016年11月
所在地 千葉県木更津市
用途 専用住宅
構造 木造
建築面積 67.73㎡
延床 124.22㎡
構造設計者 KKSエンジニア 坂本 憲太郎
外構 en landscape design
施工 (株)kurosawa kawara-ten
撮影 小野田 陽一

方丈とは禅宗の寺院で多く見られる 2 列 3 室の計6つの部屋を持つ建物で , 廊下は無く、部屋同士がダイレクトにつながっている。外には縁側が建物全体を囲み、庭を眺めながら建物を回ったり、途中で縁側に腰かけて考えことをしたりと建物自体はシンプルな構成ながらも自由で豊かな空間が広がっている。

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夫婦二人のための住まいである。
設計中、作家である奥様は作品の構想を練る時や執筆に疲れるとよく散歩に出かけることをお話しされた。そこで家の中を散歩でき、敷地の中に多様な場所を作ることで執筆活動が捗るだけでなく、ふと窓の外を見たときに絵になるような、外部だけで完結するのではなく、内からも外に意識が向くことが出来る関係を作り出したいと考えた。まず縁側や土間で建物全体を囲い、各部屋から素足で外に出て歩き回れるようにした。そして、縁側の一部を伸ばし、月見台を作り東京湾を眺めることが出来る場所を作った。屋根は軒を出し、雨の日も気兼ねなく散歩することが可能である。
また、縁側の存在によって建物の基礎を覆い、建物の高さを低くみせ、親しみのある柔らかい佇まいとなっている。

内部は、1階では白い抽象的な空間にし奥様の選ばれた家具や小物が空間を彩る。また、水平窓を多く設置し、庭の緑をインテリアとして取り込むだけでなく縁側を歩く人を映し出す。2階は外部と連続するように垂木を現しにし、山小屋のようなナチュラルな空間を 作り出している。

シンプルな構成ながらも、庭と触れ合える設えを作ることで実際の広さ以上に感じさせたり、内部からはインテリアとして縁側と庭の緑を取り込む。いわば現代版の『方丈』を形にする試みである。