作品

05.イネマメ

竣工年 2017年7月
所在地 東京都世田谷区
用途 店舗
延床 124.22㎡
共同設計者 (株)kurosawa kawara-ten
左官 都倉 達弥
施工 (株)kurosawa kawara-ten
撮影 石田 篤

京王線芦花公園駅前に佇むコーヒ豆屋である。いわゆるスペシャリティーコーヒーを扱うが、敷居の低い町のコーヒー屋さんを目指したいというオーナーの強い思いがあった。そこで、街になじみ開かれた佇まいとしつつも内部は少し個性のあるコーヒー豆屋さんを表現したいと考えた。
まず、既存硝子壁を撤去し、一歩中に入った場所に新たにお店の扉を設けた。今までサッシがあった場所にベンチを設け待合として、或いは街の縁側のようなコミュニケーションの場となることを狙っている。
お店の主役であるコーヒ豆は、量り売りスタイルであることから、豆の重量感を感じられるデザインを目指すこととなった。具体的には天井に取り付けられたレールからワイヤーで吊っている。ワイヤー上であればどこでも棚を追加し二段や三段の棚にでき、或いは棚自体をレールに沿って動かすことが可能である。この装置自体がインテリアとして機能する。
また、風が吹くと揺れる木々のように、電車が通るたびに、ゆらりと揺れ駅前という環境を可視化しお店の中に動きを作ってくれる。
オープン後、カウンターでオーナーと話しがはずんでいる人、豆を一つ一つ吟味しながら吊棚周辺を歩く人、待合でのんびりとコーヒーを飲む人など色々な姿が通りから見られ早くもこのお店が街の風景の一部になっていることを感じた。