作品

07.西日を受けとめる家

竣工年 2017年5月
所在地 静岡市清水区
用途 専用住宅
構造 木造
建築面積 36.43㎡
延床面積 83.62㎡
施工 (有)三ツ井工務店
撮影 石田 篤

築70年近いかつて小料理屋であった店舗併用住宅のリノベーション。
出来るだけ既存の柱や梁を使うことを前提とし、かつて商売をしていた記憶を引継げるよう計画を行った。敷地は幅2間、奥行約15間という典型的な町家であり、周囲には敷地境界線いっぱいに建物が立ち並び道路側である西に採光を求めるしかなかった。

光を最大限取り入れるため玄関扉も窓と解釈し、制震ダンパーも現しにし木製カーテンウォールのような一階から二階を開口とした。
そして取り入れた西日を出来るだけ和らげるため二階の床をスノコとし光を拡散して一階に導くようにしている。二階のスノコの床は夏は風通しが良く、冬はスノコの上に畳を敷くことが可能である。
玄関は家の開口幅と同じ幅で、ポーチから玄関まで床仕上は三和土とし、冬はこの土間の土に光が当たり蓄熱効果を計っている。玄関土間から一段上がって表の空間であるダイニング、キッチンを挟んで裏の空間の居間をつくり、町屋のような空間構成としている。
内部仕上は光を反射しないよう木の壁とし一部水廻り部のみ漆喰とした。そして既存の梁の松丸太を現しにし、かつてお店で使っていた建具をそのまま使用した。

新しいものと古いもの、愛着のあるものを織り交ぜながら、新しいがどこか懐かしい思いを感じさせる空間を目指した。